エリク、君はホラー映画を見るかい。いやあ僕は正直、ホラー映画が苦手だ。凄惨な場面では目を塞いでしまう。しかし、「IT」は単純なホラー映画ではない。子供達が主人公でもある物語だ。
「IT」はスティーブン・キングのホラー小説である。世界最恐と言われている。それを映画化したものが1990年に公開された第1作目である。2017年にリメーク版、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり」が公開された。
人間の弱さに付け込む不気味なピエロ、ペニーワイズが起こす恐怖を描き、それに対抗する少年たちの活躍を描く。ペニーワイズはトロールが出てくるおとぎ話「三びきのやぎのがらがらどん」をヒントに作られたとされているが、実在する連続殺人鬼で、パーティでピエロをつとめていたジョン・ウエイン・ゲイシーの影響も指摘されている。ゲージは同性愛者で、少年を含む33名を殺害し、死刑執行されている。
1990年の映像化のあと、27年後にリメーク版が公開されているが、ペニーワイズが27周期で現れるということに因んで27という数字が使われている。ペニーワイズは赤鼻のピエロの姿をして、子どもにしか見えない存在。子供達が恐怖を感じるものに変化するなど妖術を駆使して子供達を追い詰めていく。そのような中、いじめられっ子達が作ったルーザーズクラブが事件の解明に奔走する。
メンバーは吃音の内気な少年ビル・デンブロルーザーズクラブの紅一点 ベバリー・マーシュ ビルの親友で早口で分厚い眼鏡がトレードマークのお調子者リッチー・トージア 勉強好きで図書館が友達のベン・ハンスコム 薬や喘息吸入器、消毒剤が入ったポーチが手放せない神経過敏な少年 エディ・カスプブラク 祖父の精肉業を手伝う黒人の少年 マイク・ハンロン ユダヤ系の少年のスタンリー・ユリスという個性的な面々だ。
彼らはそれぞれ心の闇を抱えている。1990年版ではペニーワイズをティム・カリーが演じている。ティムの演じたピエロが怖くてピエロ恐怖症になった人が続出したという。
2017年版ではペニーワイズをビル・スカルスガルドが演じている。ビルはティムが演じたペニーワイズとかぶらないよう演技を工夫したという。
2019年11月公開の「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり」でもビルがペニーワイズを演じている。ペニーワイズの怖さはその子供の境遇に応じた恐怖を幻覚で見せるということだ。ペニーワイズが用水路の中にひそみ、町のあらゆるところに出現するところが怖いところである。この映画が単なる恐怖映画ではなく、スタンドバイミーのホラー版と言われているが、少年たちの成長を描いた映画にもなっているところがこの映画の特徴だ。少年たちが自分の中にある恐怖を倒し、成長していくという意味もある映画である。
小説のITを読んでこの映画を見るとそういったところがよくわかると思う。じっくり味わいたい映画なので是非見てほしい。
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