種をまく人、ゴッホの作品から影響を受けた映画

こんにちは、エリクです。

今回は竹内洋介監督の自主制作映画「種をまく人」を取り上げます。

竹内監督はフィセント・ファン・ゴッホの「種をまく人」と被災地に咲いたひまわりにヒントを得てこの映画を制作しました。

ゴッホはミレーの「種まく人」から着想を得て「種をまく人」を描きましたが、ミレーの作品と比べると太陽のギラつく中で種をまく人の生きる喜びと生きる厳しさを表している作品です。

その作品から着想を得て映画化された作品が「種をまく人」です。

 映画は自主制作映画の低予算で作られたにもかかわらず、第57回テッサロニキ国際映画祭のコンペティション部門にて最優秀監督賞(ブロンズアレクサンダー賞)と最優秀主演女優賞の2冠に輝いた作品です。

 主演女優賞を獲得した知恵役の竹中涼乃さんは11歳ながら最年少受賞となりました。竹内監督は竹中涼乃さんには彼女に生の感情を出させたいとの思いからあえてシナリオは冒頭部分だけしか渡さなかったというエピソードがあります。

 あらすじは、3年ぶりに精神病院から退院した高梨光雄が弟・裕太の家を訪ねる。再会を喜ぶ姪の知恵、その妹のダウン症の一希ら家族に囲まれて幸せなひと時を過ごす。東日本震災で見たひまわりの話を知恵に聞かせる。知恵は太陽に向かって咲くひまわりと、時折空を見上げる妹の一希を重ね合わせる。知恵は光雄に遊園地に連れて行って欲しいとねだり、一希を連れて、光雄は遊園地に向かう。遊園地で知恵のせいで一希が事故死する。一希を死なせてしまった知恵がついた嘘が招く家族の崩壊と再生を描く。一希を弔うために、ひまわりの種を植え続ける光雄。種をまくことだけに集中する光雄。

 この映画のために宮城県仙台市の若林地区に約2000粒のヒマワリの種を植え、映画の中でも取り上げられています。

 一希役は竹内監督のダウン症の姪が演じています。撮影当時3歳だった姪は、今は8歳に成長しているそうです。

 映画では障害を抱える家族の葛藤と苦悩が観る者の胸に突き刺さり、社会の中で障害をどう受け入れて行くのか、家族の葛藤と再生を描く美しい作品です。

 知恵役の竹中涼乃さんの演技が映画祭で絶賛されました。竹中さんはテレビやCMでも活躍している子役さんです。

 また、ラストシーンが映画作品の中で最も美しいシーンだと世界中で称賛されました。竹内監督は絵画も描かれる多才な方です。ゴッホの「種をまく人」を思い描きながら是非見たい映画です。


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